帯状疱疹後神経痛
帯状疱疹(たいじょうほうしん)は子供の時にかかったみずぼうそうのウイルスが、身体の中に潜んでいて、疲れた時などを狙ってまた暴れだす病気です。不思議なことに、2回目に暴れだす時は体の一部の神経の分布に従って、皮膚に水ぶくれを伴う痛いぶつぶつができるのです。それが腰や胸のところにできるとあたかも帯のようだから、帯状の疱疹、帯状疱疹と言うわけです。頭からおしりまで、からだのどんな所にもできます。しかし、かならず左右どちらか一方です。帯のようにできると言いますが、体をぐるりと巻いてしまうことはありません。
さて、この皮膚病はとても痛いのが特徴です。今は原因のウイルスを殺す薬がありますので、早くそれをのんだり、点滴をしたりするとぶつぶつはとても早く治ります。しかし、問題は痛みです。帯状疱疹の中には、ぶつぶつがなくなって元のような皮膚になっても、いつまでも痛みが残る場合があるのです。これを帯状疱疹の後の神経痛、帯状疱疹後神経痛と言います。この痛みの治療がなかなか難しいのです。じっとしていても、チクチク、ジリジリと痛みが襲う。物が軽く触れただけで、たとえばシャツがすれるだけで、ジガジガと痛い。この痛みはなった者でないとわからない耐えがたい痛みだと言います。
西洋医学的にも様々な薬を使ってこの痛みに対処しようとしますが、簡単ではありません。神経ブロックもそれほど効果がありません。
漢方的にも治療が困難な痛みのひとつと言えます。私もすべての帯状疱疹後神経痛を治せるなどと豪語することはできません。しかし、少なくとも一部の帯状疱疹後神経痛は漢方薬で治療可能です。完全に除痛できなくとも、気にならなくなったと言う方はずいぶんおられます。治療は早ければ早いほど効果が得られやすいことは、他の疾患でも同じですが、かなり長く痛んでおられた方もあきらめずに漢方治療を試されることをお勧めします。