今年は訃報が多く、新年の挨拶遠慮云々のはがきもやたらと舞い込む訳ですが、日田市のバー・ヘネシーのマスターUさんが11月のはじめに亡くなられていた。残念で、寂しいね。何かの本で、人生最後に話したい人間がいるとしたらそれはバーテンダーだ、と言う話を読んだことがある。Uさんの面影を偲ぶと、そうかもしれないね、と思えるな。混んでいるときなんか、僕らが団体で押しかけたときぐらいで、ほとんどカウンターに僕かもう一人くらいが飲んでいるくらいで、騒がしかったことなんか一度もない店だったね。勧められるまままにあれやこれやを飲んでいただけだが、旨そうに飲んでいるのをカウンターの向こうで嬉しそうに眺めていたお顔が今も目に浮かぶ。ニッカウィスキーこそ、という信念で日田市にかってニッカの工場があったと言うのもあろうが、ニッカを語る時には、熱い口調で半分怒ってるように見えたもんです。
確かに「余市」は旨い。このブログで部屋の余市がもうなくなると書いていたら、何十年と会っていない知り合い、いや友人から余市をいただいて、それが今僕の目の前にある。贈ってくれたその人とは20代に一度か二度会っただけなのに、なんという志だろう。荒削りの20代、ウィスキーで言うならまだウィスキーじゃないぐらいのころ出会って、話して、それから一度も会ってない。「橋の下を水が流れて」お互い年月がたった酒のようになったかもしれないね。どこかで会えたなら、しみじみと・・・、いや一瞬で20代に復活するだろな。まぁ、ともあれウィスキーです。沈黙も饒舌も、悔いも喝采もこの液体に溶け込ませてちびちびと夜が更ける。そんな時間の過ごし方を僕はUさんから教えてもらいました、「地球は冬で、寒くて暗い。ぢゃ、さようなら。」とは詩人の詩人への弔辞ですが、「Uさん、ほんとに今年は寒いですよ。また、いずれ、余市を、いやカナディアンの安いやつにしましょうかね?」 再見
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