スティーヴ・ハミルトン作「解錠師」を読んだ。アメリカ探偵作家クラブ賞と英国推理作家協会賞の受賞作で、結構長い話だけど、すらすら読んでしまった。「プロの金庫破り」になってしまった少年の成長が書かれているわけだが、この少年が幼少時の心的外傷のためか「声が出せない」少年で、絵の才能があり、恋人に絵を描くことで、自分の気持ちや過去を伝えるといった設定が言わせないね。
アメリカの推理作家協会というと、僕はロバート・B・パーカーに一時期はまっていた。スペンサーシリーズは随分追っかけて読みました。マッチョ指向のどうしようもない小説と非難する向きもあるようですが、「人生に対する姿勢」だとか、「行動の規範」だとかいろいろ考えさせられたもんです。最初の方は新鮮だったスペンサーと恋人スーザンとの会話はなんだか飽きてしまいましたがね。「それを行って正しいかどうか、と言うことは、それをした後にすっきりするかどうか、で決まる。」というヘミングウェイの定義はこのシリーズの中で知りました。
「日はまた昇る」や「移動謝肉祭」のヘミングウェイも悲しいけど、R・B・パーカーも全編なんだか悲しいね。「解錠師」もとてつもなく悲しい。けれど、前方に光がある。かすかながらに明るさがある。それを信じて、うつむいてはいない少年の独白で小説は終わります。「ずいぶん時間がかかったけれど、何か言ってみせる。かならず。」
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Monet Beene (木曜日, 02 2月 2017 09:10)
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