もう11月も終わる。短かった夏の代わりというわけでもないだろうが、今年はやたらと秋が美しい。9月に父が急逝して、少ししんみりしているせいだろうか。なんでもない木々の葉に日が射して、晴れきった秋空をバックに風に揺れているのを見たりすると、「きれいだな。」と見入る裏側になにやらさみしいような感慨がはっきりとある。「この明るさの中に、ひとつの素朴な琴を置けば、秋の美しさに耐えかねて、琴は静かに鳴り出すだろう。」と八木重吉が歌った詩を思い出して、ほんとに「秋の明るさだ。」なんて、街角でボーッとしてる。少しアブナイ雰囲気かもしれない。
福岡を含めて九州の空はまるきりの青ではない。わずかだが、黄土色がまぶしてあるような空だ。このことを教えてくれたのは小学校3,4年の時の担任だったY先生だ。Y先生はちょっとした画家で、図画工作の時間に外で写生をしていると、「空は何色に見える?」と尋ねられた。僕は何をきくんだろうと思って、「青色?」と答えると、「君の目はふしあなかい?僕の目には小さな黄土色が見えるけど、君の目には見えないの?」と、空を見上げて眼を細めながら、にっこりされたのを思い出す。それ以来、僕の頭上の福岡の空は,ほんの少し黄土色のつぶつぶが混じった水色の空だ。
Y先生も僕が知らない間に、この世を去ってしまわれていた。自由であること、人に優しくすること、美しいものにあこがれること、そんなことを僕はY先生から教わった気がする。
人は去る。人は残る。立ち止まるわけにはいかないが、すこしゆっくり歩みを緩めているこの頃である。
名月や我ら地に在りものを食む 芝道
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山浦昌子 (火曜日, 25 11月 2014 16:16)
長い間更新されないのでどうかされたかと思っていました。
書かれる様々なことに興味深く、そして魅かれます。
お忙しいでしょうが時々は書いてください。
修猷館の先輩へ (水曜日, 26 11月 2014 20:41)
本日11月26日(水)、腰椎のブロックをして頂いた、後輩です。今日は、右側先週水曜日は左側でした。名前は次に来院したときに言います。距離45キロからの患者です。もう分かられてあるかと思います。仕事に埋没して先日HPがニニュアルしてあるのは、っていましたが。いつも、先輩には良きアドバイスを頂き命の恩人だと思っています。今日も頸椎広報所圧の話をしましたが、「未知の世界に挑戦しよう。」と言われ、勇気を頂きました。いつも真剣にMRI画像を見てのコメントありがとうございます。
トール (日曜日, 30 11月 2014 20:52)
粕屋では知らぬ人無しの風邪博士(御父上様)が逝かれて、また一つ時代が終わったと感じてます。
お通夜では人がせっかく「神妙な面持ち」を保って礼拝しようとしてたのに、いきなり「西南の悪ソウ共が来た!」だもんねぇ~!いつものグダグダになっちゃったじゃないか~~~!
オタッキー (木曜日, 04 12月 2014 14:48)
名月や 我ら地にあり ものを食む
御尊父を想い現世の覚悟を示す、渾身の句を目の当たりにし感じ入りました。
自然と、貴殿の句を思い出します。
オリオンを 背負うかばんの 重さかな